2020年9月28日、某県立病院の診察室にて
この日、私は消化器内科の担当医に挨拶をして、向かい側に座った。
薄っすら口ひげを生やした、ちょっとカッコいい彼は、軽く会釈しつつ、顔だけは
パソコンのモニターを見つめたままだった。
そのモニターに映るカルテの中から、慎重に言葉を選びながら、説明を始める。
――がしかし、歯切れの悪い、オブラートに包んだような表現。
つまり、伝えにくい内容、ってことでしょ?
まどろっこしさに若干イラっとしつつ、視線の端のモニターに答えを探す。
『…悪性リンパ腫の疑い』
ああ、やっぱり。
ちょっとバタバタしそうやなぁ。。
私の盗み見を知ってか知らでか、担当医の説明は続く。
その内容は、表現を選びに選んだ末、ますます意味不明に…
私 「せんせ、詰まるところ『ガン』ですよね?」
担当医 「…まぁ、そういうことです」
医師の仕事は大変だ。
人それぞれ伝え方を模索しなければならない立場を慮った
自分の未来はさておいて…
2020年10月5日、某県立病院の6階、4人部屋の病室にて
「まさか40代の自分がガンに罹るなんて思っていませんでした」
と言うようなテレビのCMで聞いたようなセリフを自分が言う立場になろうとは。
そんなことを思う自分がベッドに腰かけている。
これから3週間の入院生活。
ただ、楽観的なのか、鈍感なのか、はたまた想像力が欠如しているのか。
ストレスを溜めるような動揺はなかったものの、、
これから先がどうなるのかは大層気になった。
家族のこと、仕事のこと、両親のこと、病気のこと、自分の体のこと、
そして何より「お金のこと」
告知から今日までの一週間を振り返ると、主に調べたのはこんなことだった。
1. 「悪性リンパ腫」とはどのような病か?進行度合いは?どう治療するのか?
2. 同じような境遇の人たちはどのように治療したのか、その結果は?
3. これからどの程度費用が掛かり、その負担は生活にどう影響を与えるのか?
「1.」は多くの情報があり、概ね理解した。つもり。診断確定はこれから。
「2.」は多くの方のブログを拝見させてもらった。追加情報 Wellcome.
「3.」は、一般的・表面的な情報ばかり。深いところは自分で経験せねば。
入院前、得た情報を妻に話してみると
妻 「せっかく時間があるんやし、ブログでも書いたら?」
おいおい、もうちょっと心配してくれてもいいんちゃうの?
と思いつつも、あくまで冷静な妻に感謝。家のことは任せたで!
そんなこんなで今、パソコンを前にして文章を打ち込んでいる。
このブログに書いていくこと
このブログを見つけるのは、悪性リンパ腫に罹った本人か、もしくはその患者を
心配している家族や友人だろうか。
もし自分だったら、どんな情報が欲しいのか。。。
・自身が受けた治療の詳細
正式な病名や選択した治療法、その経過、そして何より、治療を受ける中で
疑問に思い、担当医に質問した内容とその回答、など。
・治療に要した費用や適用した減免・救済措置などの金額
診断が下る前にちょこちょこ出ていく検査や手術の費用。一体、どのくらい
積みあがったのか。また、健康保険適用の社会人が3割負担で本来ならいくら
支払うのか。それがどこまで減免されるのか。会社の給与はどうなるの?
保険が下りるなら、その差し引きで損得はどうなるの?などのぶっちゃけ。
悪性リンパ腫に対して、私も妻も驚くほど状況を受け入れ客観的に話をしている。
落ち込んでいないので共感されない話もあるだろうし、ストレートな表現で呆れる
人もいるかもしれない。そんな身もフタもない話だけれど、まずは書いてみよう。
次回から、兆候を感じた日からの行動を思い出し、時系列を追って書き込んでみる。
読んでもらえれば、これ幸い。